七左という陶芸家 

  出会いはいつも突然でランダムなのでしょう、運命とかいうのは少し抒情的すぎると思います。 結局結果論なのですが・・・きっと達者な朱泥陶芸家だったに違いない

 最初はフラッと立ち寄った骨董店で見かけた白泥藻がけの茶椀だった。飯茶わんかなと思ったがよく見ると茶の湯の道具であるような、ないような、夏茶椀にしては少々小ぶりかなあと今でも思っている。ともあれ見事な造形と達者な線刻が気に入ったので一ヶ所のほつれを突っ込んで3000円で手に入れた。 安いのか、高いのかよくわからないがその時は自分用の飯茶椀にすればずいぶんとよいなと思った。しかしつらつら眺めるにとてもよい出来で自分ごときの飯茶椀にはちょっと位負けしそうで、飾っておくことにした。

 達者な字を読むのは苦手だが、どうやら 初窯記念 と読める、初釜とは新年最初のお茶会で想像するに、この陶芸家は茶会を催す茶の湯の先生に依頼され茶席に招かれる人数分の茶椀をしつらえたのだろう。

 新年だから干支をということだろう、午の線刻がまた見事だ。洒脱で流れるようなこの午は見ていてあきることがない、少ない情報から推察するに 1906年(明治39年) 七左59歳 あるいは47歳の時の茶椀だろう。

 その後しばらくしてから、オークションをながめていたら 七左銘の急須をみつけた。ずいぶんと安価に落札させてもらったので現物が届くまで半信半疑だったが7点セットで届いた品物はまぎれもなくすばらしいものだった。上質の朱泥でみごとなロクロさばき、薄手で手になじみ堂々とした形状、すぐれた中国朱泥急須にもまったく見劣りしない・・・まるで鑑定家のようだが そんな才はないのですが。もっと七左について知りたいと思っています。唯一ネット情報で-渡辺七左衛門 1847~1919 梅寿の指導の下、茶注を作成。早くから石炭窯を築き藻がけ茶注や白泥を焼いた先駆者-とあるだけだ。

陶芸家

七左銘夏茶椀

初窯記念

午の線刻

急須7点セット

みごとな急須